幻の葛尾村になる前に(12) 除染に終わりなし

葛尾村を全村除染するのは不可能というしかない。現場を見てどれほどの土、水、植物が汚染されているかが分かった。

東電が昨年2013年8月に福島原発で行われたがれき撤去時に大量の放射性物質が飛散して南相馬市の水田を汚染したことを認めたように、除染手つかずの帰還困難区域が残る限り、除染された準備区域もいずれ再汚染される可能性があることを忘れてはならない。

ところで件の侃々諤々の夜、筆者はあるアイデアを思いついた。1600人いる村人のうち500人の高齢者しか村に戻らないかも知れないとの悲痛な叫びがでたときのことである。

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もう一度皆が生きられる村にするために考えられることは2つしかない。その一つはミニ葛尾村計画である。

上の写真は以前にお見せした葛尾村マップの中心部拡大図である。三春町浪江町を結ぶ東西の街道と、浪江町津島地区と田村市都路地区を結ぶ南北の街道が交わる地点が葛尾村の中心部落合地区である。写真で分かるように村役場があり(現在は三春町に仮設村役場がある)、葛尾小学校、葛尾中学校の名が見える。しかしこの葛尾小中学校は子どもたちが帰村する見込みがないので廃校になる可能性がある。例えば500人が帰村しても、住民数から、スーパーはおろかコンビニさえ出店が難しいと予想される。診療所も再開は難しいだろう。

勝手な見通しを許していただきたい。このままでは居住空間を再構築するのは難しいのだ。いずれ若者が村に帰ってくることを夢見ながら、高齢者だけで細々ながらも歴史から村が消えないように維持していかなければならないだろう。しかし500人が元の自宅に戻っりばらばらに住んだのでは、コミュニティとしての村が機能しない。なによりご近所さんがいなくなればただ寂しいではないか。そこで、大まかではあるが、次のようなプランはいかがであろう?

1,居宅を移設新築するなどして村の居住地区を落合地区に集中させる。

2,医療施設、ミニスーパーは現在の村役場内に併設する。

3,葛尾小中学校を、芸術家が住んでアトリエとしても利用できるアートヴィレッジにするなど、開放する。企業に開放してもいいのではないだろうか?

4,村全体を自然エネルギー開放区にして、太陽光発電風力発電、水素エネルギー発電などを張り巡らせ、生産された電力を売電する。周辺地区に火力やガスによる発電所する可能性も考える。

5,中心地周辺に大規模なビニールハウスを建設して、安全な土を手に入れて汚染のない野菜や果物、花などを栽培する。

もうすでに企画されているプランがあるかもしれない。また、何を素人が、と馬鹿にされるかも知れない。それでも何かを考えざるを得ない切実な状況である。どうか読者のみなさま、稚拙な小生のプランにご批判をいただいたり、補助的なご意見をいただくなど、一緒に考えて下さるようお願い致します。